庭づくり/庭リフォーム

庭とは?意味や種類から後悔しない庭づくりのコツまで徹底解説

庭とは何か?歴史と意味を知る

こんにちは。庭づくり・外構リフォーム完全ガイド、運営者の「にわ好き」です。

家づくりや外構を考えるとき、自分にとって理想の庭とはどのようなものだろうと悩むことはありませんか。本格的な日本庭園に憧れる方もいれば、気軽にガーデニングを楽しみたい方、あるいは敷地を活かして小さな坪庭やプライベートな中庭を作りたいと考える方もいるかと思います。この記事では、そんな皆さんの疑問や不安に寄り添い、庭の本当の意味や種類、そして後悔しない庭づくりのポイントを分かりやすく解説していきます。最後まで読んでいただければ、きっとあなたにぴったりの庭の形が見つかるはずです。

  • 庭の歴史や本来の意味についての深い理解
  • 和風から洋風まで多様な庭の種類とそれぞれの特徴
  • 自宅に庭を作るメリットとあらかじめ知っておくべきデメリット
  • 費用相場や雑草対策など実践的な庭づくりのノウハウ

庭とは何か?歴史と意味を知る

私たちが普段何気なく使っている「庭」という言葉ですが、実はとても奥深い歴史と意味を持っています。単なる家の外の空き地ではなく、日本人の自然観や暮らしの歴史が詰まっているんです。ここでは、庭の語源や成り立ちから、日本ならではの伝統的な様式について一緒に詳しく見ていきましょう。

庭の語源と成り立ち

庭の語源と成り立ち

庭という言葉がどのようにして生まれたのか、少し歴史をさかのぼってみますね。古代の日本では、現代のように「庭」という一つの言葉で屋外空間全体を指していたわけではなく、「にわ」と「その(園)」という二つの言葉がはっきりと区別されて使われていました。

もともと「にわ」というのは、神事や儀式、あるいは狩猟の準備などを行うために整えられた「平らな場所」のことを指していたそうです。語源的には「土(に)の場所(わ)」や「面(も)の場所(わ)」から来ていると言われています。つまり、美しい植物を愛でるための鑑賞用の場所というよりは、何か特別な行為や作業をするための、極めて機能的で実用的な空間だったわけですね。

一方で、「その(園)」は、野菜や果樹、薬草などを育てたり、草花を鑑賞したりするために周囲を囲い込んだ場所を意味していました。奈良時代頃までは、池や植物が配置された観賞用の空間は「園」や「山斎(しま)」と呼ばれており、「にわ」とは全く別の概念として扱われていたのです。

平安時代からの中世への変化
この二つの概念が融合し始めたのが平安時代です。貴族たちの住宅様式である「寝殿造(しんでんづくり)」が発展する中で、南側の庭には儀式を行うための平らな白砂の空間(にわ)が設けられ、さらにその奥には舟遊びや詩歌を楽しむための広大な池や植栽(その・しま)が一体的に作られるようになりました。その後、鎌倉時代や室町時代になり、武家や禅僧の文化が中心になると、庭は屋外で活動する場所から、書院(室内)から座って眺めるための精神的な空間へと変化していきます。こうした長い歴史の過程で、「にわ」という言葉が持つ意味がどんどん広がり、観賞用の緑地や耕作空間をも包み込んだ、私たちが現在イメージするような「庭」の概念が出来上がっていったと考えられています。

辞書が示す庭の意味と役割

一般的な国語辞典を引いてみると、「庭」という項目には驚くほど多様な意味が記載されています。私たちが一番に思い浮かべるのは「屋敷内の空地」、つまり草木や池が配置されていたり、洗濯物を干したりする、建物の外にある空間ですよね。これが現代における最も一般的な庭の認識だと思います。

しかし、辞書にはそれだけではなく、先ほど語源のところでお話ししたような「神事や農作業など、特定の活動を行うための平らな場所」という意味もしっかりと残っています。例えば、「学びの庭(学校)」や「戦の庭(戦場)」、「祭りの庭」といった表現を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。これらはまさに、何らかの事象が発生するフィールドとしての「庭」の本来の意味を受け継いでいる言葉です。

さらに面白いのは、家屋の中にある「土間(どま)」のことも庭と呼ぶ文化がある点です。昔の日本家屋では、玄関から台所にかけて靴を脱がずに歩ける土の床がありましたが、これを「通り庭」と呼んでいました。屋内でありながら外部のような性格を持つ、作業のための空間ですね。また、波が穏やかで平らな海面を、平坦な庭に見立てて「波の平らな庭」と表現するような、詩的な比喩表現も存在します。

こうして様々な角度から辞書的な定義を見てみると、庭とは単に草木が植えられた屋外のスペースではなく、「人間の営みや何らかの出来事が行われる、フラットなフィールド」という非常に広く、そして深い意味合いを持っていることが分かります。ご自身の家に庭を作るときも、「ここは家族のどんな営みが行われるフィールドなのだろう?」と考えてみると、より愛着の湧く空間づくりができるかもしれませんね。

日本庭園など庭の種類と様式

日本庭園など庭の種類と様式

「庭」と聞いて、世界に誇る美しい日本庭園を思い浮かべる方も多いと思います。日本庭園は、広大な自然の風景を限られた空間の中に凝縮し、象徴的に表現する点に最大の特徴があります。ただ無造作に木を植えるのではなく、高度な計算と精神性が込められているのです。ここでは、代表的な3つの様式を詳しくご紹介しますね。

池泉(ちせん)庭園

日本庭園の最も基本とも言える、池や水の流れを中心としたスタイルです。大きな大名庭園などでよく見られる、池の周りに園路を巡らせて、歩きながら移り変わる景色を楽しむ様式を「池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)」と呼びます。石川県の兼六園や東京の六義園などが有名ですね。また、平安時代の貴族のように舟に乗って水面から景色を楽しむ「池泉舟遊式」や、建物の室内から額縁の絵のように眺める「池泉鑑賞式」など、水の扱い方や鑑賞の視点によってさらに細かく分類されます。水面は海や大河を象徴し、周囲の木々や空を映し出す鏡のような役割も果たしています。

枯山水(かれさんすい)

池や川といった実際の水を一切使わずに、石や白砂、苔、少数の植栽だけで大自然の山や水の流れを表現する、非常に抽象度が高い様式です。京都の龍安寺などが世界的に有名ですよね。室町時代の禅宗の影響を強く受けており、もともとは僧侶の精神修養の場として作られました。白砂に描かれた箒の跡(砂紋)を波のうねりに見立てたり、ゴツゴツとした石組を険しい山や島に見立てたりと、物理的な水がない場所に「水を心で見る」という、鑑賞者の豊かな想像力が求められる奥深いお庭です。

露地(ろじ) / 茶庭

茶道において、お客さんが待合からお茶室へと向かうための通路であり、お庭でもある空間です。「市中の山居(都会の中にありながら山奥の風情を感じる場所)」というコンセプトに基づいて作られており、俗世間から切り離された非日常の空間(結界)を作り出す役割を担っています。飛び石や石灯籠、手を清めるための蹲踞(つくばい)などが、華美な装飾を排して実用的に、かつ「侘び寂び」を感じさせるように配置されています。

日本庭園を読み解くキーワード「見立て」
日本庭園の奥深さを楽しむ上で絶対に知っておきたいのが「見立て」という高度な比喩技法です。例えば、庭園の外にある本物の山や樹木を、まるで庭の一部であるかのように背景として取り込む「借景(しゃっけい)」。また、中央に大きな石、左右に小さな石を配置して仏様(三尊仏)に見立てる「三尊石」や、石の配置で鶴と亀を表現して長寿を願う「鶴亀の庭」など、ある対象を別の尊いものになぞらえて表現する工夫が随所に散りばめられています。これを知っているだけで、庭の見方がガラリと変わりますよ。

現代における庭のデザイン

時代が変わり、現代の住宅事情や私たちの忙しいライフスタイルに合わせて、お庭のデザインや求められる役割も大きく多様化してきました。昔ながらの和風庭園も素敵ですが、最近特に検索需要が急増し、街のあちこちで見かけるようになったのが「ドライガーデン」「ロックガーデン」と呼ばれる新しいスタイルです。これらは「手入れの手軽さ(ローメンテナンス)」と「デザイン性の高さ」を見事に両立させている点で、現代のニーズに非常にマッチしています。

ドライガーデンは、その名の通り乾燥地帯の環境を再現したお庭です。サボテンやアガベ、ユッカ、ソテツといった、独特のフォルムを持つ多肉植物や乾燥に強い植物を主役に据え、周囲に溶岩石や明るい色の砂利を敷き詰めます。まるでカリフォルニアやメキシコのリゾート地のような、スタイリッシュでモダンな雰囲気が特徴です。水やりや剪定の手間がほとんどかからないため、共働きで忙しいご家庭でもおしゃれな空間を維持しやすいのが最大の魅力ですね。ただし、人気の植物は価格が高騰しがちで、初期費用が少し高くなる傾向があります。

一方のロックガーデンは、高山や山岳地帯の岩場、渓谷などの厳しい自然環境を再現するスタイルです。こちらは自然石の力強さや野趣あふれる質感が主役となり、岩と岩の隙間に高山植物やハーブ、多肉植物などを植え込みます。ドライガーデンよりは水やりや手入れが必要になることもありますが、使用する石や植物の選択肢が広いため、和風の家にも洋風の家にも合わせやすく、コストも比較的抑えやすいというメリットがあります。

これら以外にも、特定の形式にとらわれず植物の自然な姿を生かす「ナチュラルガーデン(イングリッシュガーデン風)」や、日当たりの悪い北側や軒下などを逆手に取って、シダ類やギボウシなどをしっとりと育てる「シェードガーデン」、花ではなく赤や銀、黄色など様々な葉の色を持つ植物を組み合わせて年間を通して美観を保つ「カラーリーフガーデン」など、住み手の好みや敷地の条件に合わせて本当に多様なデザインが確立されています。

庭園と一般的な庭の違い

ここまで日本庭園の様式から現代のガーデントレンドまで色々な庭を見てきましたが、ふと「庭と庭園、そしてガーデンって、言葉としてどう違うの?」と疑問に思うかもしれませんね。これらに厳密な法律的・学術的な境界線があるわけではありませんが、現代の日本語のニュアンスや文脈としては、以下のように使い分けられていることが多いです。

まず「庭(Niwa)」ですが、これは住宅の敷地内にある、私たちの生活に密着した屋外空間全般を指す日常語です。美しいお花を植える花壇はもちろんですが、洗濯物を干すスペース、自転車を置く場所、子供が泥んこになって遊ぶ場所、あるいは裏口のゴミ箱を置くスペースなど、実用的・機能的な側面も含めて「庭」と呼びます。「庭いじり」や「裏庭」という言葉があるように、非常に身近でプライベートな空間ですね。

次に「庭園(Teien)」は、明確な意図やテーマを持って設計され、造形された、美的価値や芸術性の高い空間を指します。自然の風景を模倣したり凝縮したりした「一つの作品(小自然)」としての性格が強く、個人の住宅というよりは、歴史的な名勝、寺院、公共施設、大規模な植物園などに対して使われることがほとんどです。生活感を感じさせない、鑑賞の対象としての空間と言えます。

最後に「Garden(ガーデン)」ですが、これは英語圏における概念で、もともとは「囲われた土地」という意味を持っています。野菜を育てる「Kitchen garden」や、お酒を楽しむ「Beer garden」、公共の「Public garden」など、日本でいう「園(その)」に近い、広い意味での区画を指します。日本では主に「イングリッシュガーデン」や「ハーブガーデン」など、洋風の意匠を取り入れた庭を指す際に好んで使われます。

私たちがマイホームの計画において「庭 とは」と検索するとき、求めているのは観光地のような「庭園」ではなく、日々の暮らしの質を高め、家族の思い出を作っていくための「生活空間としての庭」であることがほとんどだと思います。次からは、そんな身近な庭のメリットや現実的な課題について深掘りしていきましょう。

庭とは生活を豊かにする空間

庭とは生活を豊かにする空間

庭の歴史や種類、そして言葉のニュアンスを知ったところで、次は私たちの実際の生活に庭がどう関わってくるのかを考えてみたいと思います。理想のイメージを膨らませることは大切ですが、同時に現実的なお金やお手入れの問題から目を背けるわけにはいきません。自宅に庭を持つことの本当の価値と、あらかじめ覚悟しておくべき点について詳しくまとめました。

自宅に作る庭のメリットとデメリット

これからマイホームに庭を作ろうか、それとも敷地いっぱいに建物を建てようか、あるいはマンションにしようか迷っている方へ。庭を持つことのメリットとデメリットを客観的に整理してみましょう。

庭を持つことのメリット
なんといっても最大の魅力は、生活の質(QOL)が飛躍的に向上することです。物理的な面では、庭という余白空間を設けることで隣の家との間に距離ができ、家の中への採光や風通しが劇的に良くなります。カーテンを開けたときに隣の家の壁が迫っているのと、緑が見えるのとでは、室内の開放感が全く違いますよね。

また、植物を植えることによる環境改善効果も見逃せません。実は、都市部において庭の緑化を進めることは、ヒートアイランド現象の緩和に大きく貢献します。樹木が直射日光を遮って日陰を作り、葉から水分が蒸発する際の「蒸散作用」によって周囲の熱を奪うため、夏場の微気候を調整し、家全体を涼しく保つ冷却効果が期待できるのです。(出典:国土交通省『公園とみどり:みどりのクールスポット(都市緑化による暑熱対策)』)

心理的な面でも、土に触れたり季節の移ろいを感じたりすることは、ストレス軽減やリラックス効果(園芸療法的な効果)をもたらします。さらに、休日に家族でバーベキューをしたり、子供の大きなプールを出したり、愛犬を走らせたりと、「アウトドアリビング」として室内では不可能なアクティビティを楽しめるのは、庭がある家だけの特権です。美しく手入れされた庭は、家自体の資産価値や街並みの景観価値まで高めてくれます。

庭を持つことのデメリット・注意点
一方で、一番のネックとなるのは、やはり管理の手間と継続的なコストです。生き物である植物を扱う以上、草むしり、伸びた枝の剪定、夏場の過酷な水やり、秋の落ち葉掃除、そして害虫駆除など、年間を通じて何らかの労働が必ず発生します。「休日はゆっくり寝ていたいのに、庭の草取りに追われる」というのはよくある失敗談です。

また、初期の工事費用だけでなく、日々の水道代、肥料や薬剤の購入費、高所作業になる樹木の剪定をプロに依頼する費用など、ランニングコストもバカになりません。もし手入れを怠って放置してしまえば、毛虫などの害虫が大量発生したり、伸びすぎた枝が境界線を越えてご近所トラブルの原因になったりするリスクもあります。さらに、庭への出入り口として1階部分に大きな窓を設けることが多くなるため、外からの視線対策や防犯リスク(空き巣の侵入経路)に対する備えもしっかりと行う必要があります。

庭の費用と素材別の相場

庭の費用と素材別の相場

庭づくりにおいて、見た目の美しさと日々のメンテナンス性を大きく左右するのが「地面の仕上げ(グランドカバー)」を何にするかという問題です。ここで選択を誤ると、後々の管理が本当に大変になります。初期費用(イニシャルコスト)の安さだけで飛びつかず、維持管理(ランニングコスト)とのバランスを総合的に考慮して選ぶことが重要です。代表的な仕上げ素材の一般的な費用相場と特徴を比較してみましょう。

仕上げ素材 費用相場(1㎡あたり) メリット・おすすめポイント デメリット・メンテナンス上の注意点
天然芝 5,000円〜10,000円 初期費用が比較的安く、自然の美しさと季節感を味わえる。表面温度の上昇を抑える効果が高く、柔らかいので子供やペットの遊び場に最適。 手入れが非常に大変(定期的な芝刈り、夏場の毎日の水やり、除草、施肥、エアレーションなどが必要)。冬は枯れて茶色になる。日当たりが悪いと育たない。
人工芝 6,000円〜13,000円 雑草が生えにくく、水やりや芝刈りが一切不要でメンテナンスフリー。一年中鮮やかな緑をキープでき、日陰でも設置可能。耐久性も高い。 初期費用が天然芝より高い。火気厳禁のため上でBBQや花火はできない。夏場は表面温度が非常に高くなる。約10年程度でパイルが寝たり劣化したりするため張り替えが必要。
砂利・砕石 2,000円〜8,000円 最も安価に広範囲をカバーできる。歩くと音が鳴る「防犯砂利」を使えばセキュリティ対策になる。水はけが良い。 落ち葉などのゴミ掃除が非常に困難。ベビーカーや車椅子では歩きにくい。防草シートを下に敷かないと土に埋没したり、雑草が生えたりするため、数年ごとの補充が必要。
コンクリート
(土間コン)
10,000円〜20,000円 最強の耐久性を誇り、雑草が全く生えない。泥汚れもなく、ほうきやホースでの掃除が極めて容易。モダンでスタイリッシュな外観。 初期費用が最も高い。夏場は照り返しが強く非常に暑い。ひび割れ(クラック)が入るリスクがある。将来的に撤去やリフォームをする際の解体費用が高額になる。
ウッドチップ
バークチップ
4,000円〜7,000円 ナチュラルでおしゃれな外観。木の香りがして防虫・消臭効果が期待できる。足触りがフカフカで柔らかく、最終的には土に還る。 湿気がこもりやすい環境ではカビが生えたり虫が湧いたりすることがある。風で飛びやすく、経年で腐食・風化して減っていくため、定期的な買い足しと補充(コスト)が必須。

※ここに記載している費用はあくまで一般的な目安です。ご自宅の立地条件、重機が入るかどうか、面積の広さ、そしてDIYで行うかプロの業者に依頼するかによって、実際の価格は大きく変動する可能性があります。後悔しないためにも、正確な情報は必ず複数の専門業者に見積もりを依頼するなどしてご確認いただき、最終的なご判断はご自身の責任と専門家への相談の上で行ってくださいね。

負担を減らす庭の雑草対策

家を建てて庭を持った方が口を揃えて言う「庭の最大のデメリット」、それは間違いなく「終わりのない雑草との戦い」です。春から秋にかけて、少し目を離した隙に恐ろしいスピードで生い茂る雑草。毎週末、腰を痛めながら草むしりに追われる生活は絶対に避けたいですよね。現代の庭づくりでは、いかに雑草を防ぐかという「防草対策」が最も重要なテーマとなっています。ここでは、メンテナンスの手間を最小化する代表的な技術をご紹介します。

まず、最もポピュラーで効果的なのが「防草シートの施工」です。これは、砂利や人工芝を敷く前に、光合成を阻害する遮光性の高い特殊なシートを地面に敷き詰める方法です。物理的に日光を遮断することで、地中の種から雑草が発芽するのを防ぎます。ただし、ホームセンターで買える安価な薄いシートだと、スギナやチガヤなどの強力な雑草に突き破られてしまうことが多々あります。長期間効果を持たせたいなら、プロが使う高密度で耐久性の高いシート(不織布タイプなど)を選び、隙間や重なり部分を専用テープでしっかりと処理することが必須です。また、紫外線による劣化を防ぐため、シートの上には必ず砂利や人工芝を被せて直接日光に当てないようにするのが鉄則です。

次に、土の自然な風合いを残したい場所には「固まる土(防草土)」という選択肢もあります。これは、土にセメント成分や特殊な固化剤を混ぜたもので、水をかけることでカチカチに硬化します。見た目は土のままですが、表面がコンクリートのように固まるため雑草の種が入り込まず、掃除も簡単になります。ただし、経年劣化や地盤の動きによってひび割れが生じるリスクがあり、日陰で湿気の多い場所だと表面に苔が生えやすいという弱点もあるので、施工場所は選ぶ必要があります。

そして、自然の力を利用した生態学的なアプローチとして人気なのが「グランドカバープランツ」の活用です。クラピア、ヒメイワダレソウ、クリーピングタイム、ディコンドラといった、地表を這うように広がり被覆力が非常に強い植物を意図的に植栽します。これらの植物が地面を絨毯のように覆い尽くすことで、他の雑草の種が土に落ちたり日光を浴びたりするのを防ぐ仕組みです。コンクリートなどで固めないため環境に優しく、花が咲く品種を選べば季節感も楽しめます。完全に覆い尽くすまでの初期段階はこまめな草取りが必要ですが、定着してしまえば非常に心強い味方になってくれますよ。

庭の手入れを簡単にするコツ

庭の手入れを簡単にするコツ

せっかく夢のマイホームにお庭を作るのですから、手入れの負担ばかりが気になって楽しめないのは本末転倒ですよね。庭でのんびり過ごす時間を最大限に増やすためには、家を建てる前のプランニングの段階から「ローメンテナンス(手間がかからないこと)」を徹底的に意識した設計にしておくことが最も大切です。住み始めてからどうにかしようとしても、限界があるからです。

手入れを簡単にするための第一のコツは、「植物の選び方を工夫すること」です。例えば、秋になると大量の葉を落とす「落葉樹」は、風情はありますがご近所への落ち葉掃きが大変です。代わりに、一年中葉がついている「常緑樹(オリーブやソヨゴ、シマトネリコなど)」をメインに選ぶと掃除の手間が激減します。また、すぐに大きくなる成長の早い木ではなく、成長が緩やかな樹種を選べば、高所作業となる大変な剪定の頻度を年1回、あるいは数年に1回に減らすことができます。自分での手入れが不安な場合は、最初から年に一度、プロの造園業者に剪定を依頼する予算をランニングコストとして組み込んでおくのも賢い方法ですね。

第二のコツは、「土の面積(植栽スペース)を思い切って限定すること」です。庭全体を土のまま残してしまうと、一面が雑草だらけになってしまいます。そこで、植物を植える場所は花壇やピンポイントの植栽スペース(シンボルツリーの足元など)だけに区切り、残りの広いスペースは思い切ってコンクリート、タイルデッキ、人工芝、あるいは防草シート+砂利などでしっかりと覆い隠してしまうのです。こうすることで、草むしりが必要なエリアが劇的に減り、管理の精神的ハードルがぐっと下がります。

さらに、夏場の過酷な水やりから解放されたい場合は、外構工事の段階で「自動散水システム(スプリンクラーやドリップチューブ)」を導入しておくことを強くおすすめします。タイマーをセットしておけば決まった時間に自動で水やりをしてくれるので、旅行中も安心ですし、早朝や夕方に蚊と戦いながらホースを持つ必要もなくなります。初期費用は数万円〜十数万円かかりますが、何年にもわたる労働時間を考えれば、十分に元が取れる投資かなと思います。

庭のゾーニングと活用方法

「庭」と一言で言っても、敷地内のどの位置にあるかによって、求められる機能やデザインは全く異なってきます。使い勝手の良い理想の庭を作るためには、敷地全体を目的別に区切る「ゾーニング」という考え方が不可欠です。それぞれのゾーンがどのような役割を持っているのか、無駄のない空間設計の基本となる5つの分類を知っておきましょう。

主庭(しゅてい / メインガーデン)

リビングやダイニングの掃き出し窓に面した、敷地内で最も日当たりが良く広い面積を占める花形の庭です。ここはまさに「アウトドアリビング」として、家族のアクティビティの中心地になります。ウッドデッキやテラスを設けて休日のブランチを楽しんだり、子供がプールで遊んだり、ガーデニングやDIYに没頭したりする場所ですね。また、室内から窓越しに眺める景色(借景)としても非常に重要なので、最もデザインにこだわりたい空間です。外からの視線が気になる場合は、目隠しフェンスや植栽でプライバシーを確保することが必須になります。

前庭(ぜんてい / フロントガーデン)

道路に面した境界線から玄関のドアまでの、いわゆる「アプローチ」と呼ばれる空間です。ここは家の「顔」として、建物の第一印象を決定づける非常に重要なゾーンです。綺麗に整えられた前庭は、訪れる来客を心地よく迎え入れるウェルカムスペースになると同時に、美しい街並みの形成にも貢献します。また、適度に見通しを良くしておくことで、不審者が隠れる死角をなくし、心理的な結界を張るという「防犯(セキュリティ)」の観点でも極めて重要な役割を担っています。

中庭(なかにわ / コートヤード)

建物をコの字型やロの字型にして、壁や部屋に囲まれるように配置された完全なプライベート空間です。道路や隣の家からの視線を完全に遮断できるため、昼間からカーテンを全開にして開放的な生活を送れるのが最大の魅力です。また、密集した住宅地であっても、すべての部屋に太陽の光と風をたっぷりと届ける「ライトコート(光庭)」としての機能も果たします。ただし、四方が囲まれているため、大雨が降った際の排水計画を完璧にしておかないと、水が溜まって家の中に逆流するという恐ろしい事態になりかねません。湿気対策も必須の、設計難易度が高い贅沢な空間です。

裏庭(うらにわ / バックヤード)

家の裏側や、キッチン・勝手口などに隣接する、人目につきにくいスペースです。ここは美観よりも「実用性と機能性」を最優先に考えます。大きな物置を設置したり、エコキュートやエアコンの室外機を置いたり、ゴミの一時置き場にしたり、あるいは外から見えない洗濯物干し場にしたりと、生活に欠かせない裏方の機能をすべて集約する場所です。人目につかないからといって土のまま放置すると雑草の温床や防犯上の死角になるため、防草シートと砂利を敷き詰めて、歩くと音が鳴るようにしておくのが鉄則です。

坪庭(つぼにわ / ポケットガーデン)

外壁や塀、建物の一部に囲まれた、1坪(約3.3㎡)程度の非常に狭い空間のことです。お風呂場の窓の外や、玄関ホール、長い廊下、階段の下などに意図的に設けられます。狭く日当たりが悪いことも多いですが、日陰に強いシダ類や下草、竹垣、玉砂利、ちょっとした石灯籠などを配置することで、狭小空間に風情ある「小自然」を作り出します。家の中に光や風を取り込むだけでなく、視線が外に抜けることで空間に奥行きを与え、日々の暮らしにちょっとした癒しと心のゆとりをもたらしてくれる視覚的な装置として活躍します。

まとめ:あなたにとって理想の庭とは

ここまで、庭という言葉の深い歴史や多彩な種類、そして現代の家づくりにおける現実的なメリットや費用面、手入れのノウハウについてたっぷりと解説してきました。様々な角度から見てきましたが、結局のところ、「庭とは何か?」という問いに対する絶対的な一つの正解はありません。

古くは神聖な儀式を行うための何もない平らな機能空間であった庭は、長い歴史を経て、美しい自然を愛でる芸術的な庭園へと昇華しました。そして現代においては、ドライガーデンのような洗練されたデザインや、手入れを極力減らす防草技術の進化によって、再び私たちの生活機能と美観を見事に融合させた「アウトドアリビング」へと形を変え続けています。

これから家づくりや外構リフォームをされる皆さんは、ぜひご家族で「自分たちはその空間で、誰と、どんな時間を過ごしたいのか」をじっくり話し合ってみてください。毎朝コーヒーを飲みながら花の手入れをしたいのか、それとも共働きだからとにかく草むしりの手間をゼロにしてバーベキューだけ楽しみたいのか。ご自身のライフスタイルと、庭のメンテナンスに割ける時間や予算をリアルに照らし合わせ、無理のない現実的な選択をすることが、持続可能で心豊かな「庭のある暮らし」を手に入れる最大の秘訣だと思います。この記事が、あなたにとって最高の理想の庭を見つけるヒントになれば嬉しいです。

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