外構・エクステリア

外構の電気配線を計画する際の基礎知識

夕暮れ時に暖色系の照明で美しくライトアップされた日本の住宅の庭。アプローチのフットライトや植栽のアップライトが点灯し、安全で魅力的な雰囲気を醸し出している

外構や庭づくりにおいて、電気配線は「使い勝手」と「安全性」を左右する非常に重要な要素です。ここでは、DIYの可否から費用感、技術的なルールまで、知っておくべき基礎知識をわかりやすく解説します。

外構の電気工事はDIYで可能か資格が必要か

日本人の手が庭の土にソーラータイプのガーデンライトを設置している様子。配線が不要で手軽に設置できるDIYの例

「庭のライトを自分で取り付けたい」「コンセントを増やしたい」と思ったとき、まず気になるのがDIYで作業できるかどうかですよね。

結論から申し上げますと、100Vの電圧を扱う電気配線工事は「電気工事士」の資格が必須です。これは法律(電気工事士法)で定められており、無資格での作業は感電や火災のリスクがあるだけでなく、法令違反となります。

無資格でやってはいけないこと

  • 屋内配線から電源を分岐させる作業
  • コンセントの増設や交換
  • 100V電源ケーブルの接続や埋設作業
  • スイッチボックスの設置や結線

一方で、資格がなくてもできるDIYもあります。例えば、ホームセンターなどで販売されている「ソーラーライト」や、コンセントに挿すだけの「ローボルトライト(12V)」の設置などは、電気工事に該当しないため誰でも安全に行えます。本格的な配線工事が必要な場合は、必ずプロの業者に依頼しましょう。

外構への電気配線工事にかかる費用相場

外構に電気を引くための費用は、配線の長さや施工方法、現場の状況によって大きく変動しますが、ある程度の目安を知っておくことは大切です。

一般的に、屋外コンセントを1箇所増設する場合の相場は約1.5万円〜3万円程度と言われています。これには、室内からの分岐工事や防水コンセントの部材費が含まれます。

工事内容 費用目安
屋外コンセント増設(壁面) 1.5万円 〜 3万円
地中埋設配線(1mあたり) 2,000円 〜 5,000円
ポールライト等の設置(1箇所) 1万円 〜 2万円(器具代別)
分電盤からの専用回路増設 3万円 〜 5万円

特に庭の奥まで電気を引きたい場合、地面を掘削して配管を埋める作業が発生するため、距離に応じて費用が加算されます。正確な金額を知るためには、現地調査を含めた見積もりを依頼することをおすすめします。

地中埋設における配管の深さとルール

外構工事の現場で、規定の深さに埋設された電気配管(PF管)の上に、注意喚起のための埋設標識シートが敷設されている様子

庭の景観を損なわないために、電気配線を地中に埋める「地中埋設」は一般的な手法ですが、これには明確なルールが存在します。

内線規程などの基準では、重量物の圧力を受ける場所(車庫など)以外では、地表から30cm(0.3m)以上の深さに埋設することが推奨されています。もし、車が通る場所の下を通す場合は、さらに深く60cm〜80cm程度の深さを確保し、強固な管で保護する必要があります。

なぜ深さが重要なのか?

浅すぎる場所に埋設すると、ガーデニングでスコップを使った際や、杭を打った際に誤って配管を傷つけてしまう恐れがあるからです。これを防ぐために、適切な深さを確保し、さらに配管のすぐ上に「埋設標識シート」を敷いて注意喚起を行うこともあります。

後付けで外構に電気配線を引く方法

新築時には計画していなかったけれど、「やっぱり庭にコンセントが欲しい」「カーポートに照明をつけたい」と後から思うことはよくあります。リフォームでの後付けは十分に可能です。

主な方法は以下の2つです。

  1. 外壁のコンセントから分岐する
    建物の外壁にある既存の防水コンセントから電源を分岐させ、露出配管や地中配管を使って目的の場所まで延長する方法です。最も一般的でコストも抑えやすい手法です。
  2. 室内の電源から壁を貫通させる
    庭に近い室内のコンセントの裏側あたりに穴を開け、そこから外へ電気を引き出す方法です。外壁に電源がない場合に有効です。

ただし、外壁に配管(パイプ)を這わせることになるため、外観のデザインを損なわないよう、配管の色やルートを業者と相談することが大切です。

PF管を用いた適切な配線保護のやり方

外壁の色に合わせて設置されたベージュや濃茶色のPF管のクローズアップ。屋外配線を保護するために外壁に固定されている

屋外で電気配線を露出させたり地中に埋めたりする場合、ケーブルをそのままむき出しにするのはNGです。必ず保護管に入れる必要がありますが、ここで活躍するのが「PF管(ピーエフ管)」です。

PF管は耐候性に優れており、自己消火性もあるため、屋外の露出配管にも地中埋設にも使用できます。よく似たものに「CD管(オレンジ色の管)」がありますが、これはコンクリート埋設専用で紫外線に弱いため、屋外での露出使用には適していません。

PF管の選び方

PF管には、ベージュ、黒、グレーなど様々なカラーバリエーションがあります。外壁の色やフェンスの色に合わせて選ぶことで、配管を目立たなくさせることができます。DIYで保護カバー程度を行う場合でも、必ず「耐候性」と書かれたPF管を選ぶようにしましょう。

失敗しない外構の電気配線と設置ポイント

基礎知識を押さえたところで、次は実践的な計画のポイントです。「ここにコンセントがあれば良かったのに!」と後悔しないための、具体的な配置計画について見ていきましょう。

庭の照明を効果的に配置する配線計画

夜の庭で、シンボルツリーが下からのアップライトで劇的に照らし出され、同時にアプローチの足元灯が点灯している効果的な照明配置の例

照明計画は、単に明るくすれば良いというものではありません。「防犯」「安全性」「演出」の3つの視点で配線位置を決めるのがコツです。

例えば、アプローチの足元には転倒防止のためのフットライトを配置し、シンボルツリーには下から照らすアップライトを設置すると、夜の庭が劇的に魅力的になります。また、家の裏手や死角になりやすい場所には、人感センサー付きのライトを配置できるよう配線を引いておくと、防犯効果が高まります。

配線計画の段階で、「どこで」「何のために」明かりが必要かを夜の動線をイメージしながら書き出してみましょう。スイッチの位置も、室内から操作できるのか、屋外のセンサーにお任せするのかを決めておく必要があります。

利便性の高い屋外コンセントの配線位置

屋外コンセントは、「とりあえず1つあればいい」と考えがちですが、使うシーンを具体的に想像して位置を決めることが重要です。

  • 洗車や高圧洗浄機用:駐車場の近く、水源の近く。
  • BBQやホットプレート用:ウッドデッキやテラスの近く。
  • 電動工具や芝刈り機用:庭の中央付近や収納庫の近く。
  • 将来のEV(電気自動車)充電用:駐車スペース付近に200V対応の配線を先行して引いておく。

特に広いお庭の場合、建物の壁面にあるコンセントだけでは延長コードを長く這わせる必要があり、不便で見栄えも悪くなります。庭の中にポールを立ててコンセントを設置するなど、使う場所に電源を持っていく発想が大切です。

経年劣化による漏電や断線のトラブル対策

屋外の電気設備は、常に雨風や紫外線、温度変化にさらされているため、室内よりも劣化が進みやすい環境にあります。

トラブルを防ぐためには、接続部分(ジョイントボックスなど)の防水処理を確実に行うことが何より重要です。プロの工事では、専用の防水材や自己融着テープを使用しますが、経年劣化でパッキンが傷むこともあります。

漏電ブレーカーが落ちたら

もし雨の日に漏電ブレーカーが落ちるようなら、外部コンセントや照明器具への浸水を疑いましょう。安全のため、屋外専用の回路には独立した「漏電遮断器」を設けておくと、万が一の際も家全体の電気が止まるのを防げます。

配線図面がない場合のリフォームの注意点

中古住宅を購入した場合や、昔の外構工事の図面が残っていない場合、庭のどこに何が埋まっているか分からないことがあります。

この状態で無闇に庭を掘り返すと、既存の電気配線や水道管(給水管・排水管)をスコップで突き破ってしまう事故に繋がりかねません。リフォームで新たに配線をする際は、事前の試掘(少しずつ手で掘って確認する作業)を慎重に行うか、専門業者に埋設物探査を相談することをおすすめします。

特に、前の住人がDIYで浅い位置に配線を埋めているケースも稀にあるため、「通常なら30cmより深いだろう」という思い込みは危険です。

外構の電気配線を整えて快適な庭にする

外構の電気配線は、一度工事をしてしまうと後からの変更が大掛かりになりがちです。だからこそ、最初の計画やリフォーム時の見直しが肝心です。

適切な配線計画を行うことで、夜の庭での過ごし方が広がり、メンテナンスの手間も減らすことができます。「今は必要ないかも」と思っても、将来を見据えて配管だけ地中に通しておく(空配管)という手もあります。

電気は目に見えない部分ですが、ここを丁寧に整えることが、長く愛せる快適な庭づくりの近道です。ぜひ、信頼できる専門家と相談しながら、あなたのライフスタイルに合った電気計画を立ててくださいね。

-外構・エクステリア