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外構の土留め・擁壁は必要?費用と境界工事の注意点

外構の土留め・擁壁は必要?費用と境界工事の注意点

こんにちは、庭づくり・外構リフォーム完全ガイド運営者の「にわ好き」です。

念願のマイホーム計画、あるいは中古物件の購入を検討している中で、「敷地に高低差がある」という壁にぶつかって悩んでいませんか?

不動産屋さんやハウスメーカーの担当者から、「ここは外構で土留めが必要ですね」「擁壁のやり直しに数百万円かかりますよ」なんてサラッと言われて、頭が真っ白になった経験がある方も多いのではないでしょうか。

私も昔、庭づくりを計画した際に、この「高低差」と「境界」の問題には本当に頭を悩ませました。

目に見えるおしゃれなフェンスやウッドデッキならお金をかけるモチベーションも湧きますが、土の中に埋まってしまう基礎や壁に多額の費用をかけるのは、正直なところ躊躇してしまいますよね。

でも、ここだけは絶対に妥協してはいけないポイントなんです。

なぜなら、外構における土留めや擁壁は、あなたと大切な家族の命、そして一生の資産である家を守るための「究極の安全装置」だからです。

この記事では、分かりにくい専門用語をできるだけ噛み砕き、高低差のある土地で後悔しないための判断基準や、適正な費用相場、そしてご近所トラブルを防ぐための境界工事の鉄則について、私の経験と徹底的なリサーチをもとに赤裸々にお話しします。

この記事を読むことで、以下の内容について深く理解できますよ。

  • 土留めと擁壁の本当の違いと、設置が必要になる明確な基準
  • 構造別の具体的な費用相場と、安易なコストダウンに潜む罠
  • 隣人トラブルを一生防ぐための、外構境界フェンスの正しい立て方
  • 購入前に絶対チェックすべき、危険な既存擁壁の見分け方

外構の土留めと擁壁の違いとは

まずは、外構計画を進める上で必ず耳にする「土留め(どどめ)」と「擁壁(ようへき)」という言葉について整理しておきましょう。

見積もり書や図面を見ても、どっちがどっちなのか、プロの業者はどう使い分けているのか、最初はよく分かりませんよね。

この2つの言葉の違いを正確に知っておくことが、無駄な工事を防ぎ、安全な庭づくりを進めるための第一歩になるんです。

外構縁石との役割の違い

結論から言うと、「土留め」とは、土が崩れるのを防ぐための工事や行為そのものを指す大きな言葉です。

一方で「擁壁」とは、土留めという目的を達成するために造られる、具体的な「壁状の構造物」を指す正式な法律用語・工学用語なんですね。

つまり、土留めという大きな枠組みの中に、擁壁という具体的なアイテムが含まれているというイメージを持っていただければ間違いありません。

ここで少し、土の性質についてお話しさせてください。

子どもの頃、公園の砂場で山を作って遊んだ経験はありますか?

砂を高く積み上げようとしても、ある程度の角度になるとサラサラと崩れ落ちてしまい、それ以上は急な斜面を作れませんよね。

自然界の土にもこれと同じ性質があり、何もしなくても土が自然に崩れない限界の角度のことを「安息角(あんそくかく)」と呼びます。

一般的に、この安息角は約30度と言われています。

家を建てるために、この安息角(30度)を超えるような急な斜面を人工的に作ったり維持したりしようとすると、土は自分自身の重さで横方向へ押し出そうとする強大な力を発揮します。

これが「土圧(どあつ)」と呼ばれる力です。

さらに厄介なことに、雨が降って土の中に水が染み込むと、土は重くなり、壁を外側へ押し倒そうとする「水圧」まで加わってきます。

外構 土留めとして造られる擁壁は、ただ空間を仕切るための壁ではなく、この「土圧」と「水圧」という自然の猛威に何十年も耐え続けるための、強靭な構造体でなければならないのです。

これに対して、平坦な土地で敷地と道路の境界をはっきりさせたり、花壇の仕切りとして置かれている「外構 縁石」は、まったく役割が異なります。

外構 縁石(地先境界ブロックなど)は、車が敷地に乗り上げるのを防いだり、雨水の侵入を防いだり、お庭のデザインのアクセントとして使われるものです。

そもそも土圧を支えるように設計されていないため、これを土留め代わりに使うことはできません。

高低差が30cmくらいまでのちょっとした花壇なら、レンガや小さなブロックで簡易的に土を留めても問題ないことが多いです。

しかし、高低差が50cmを超えてくると、基礎をしっかり造ったり、水抜きの工夫をしたりしないと、あっという間に崩れてしまいます。

さらに高低差が60cmを超える場合は、鉄筋を正しく配置するなどの本格的な工事が必要になり、DIYや素人判断で施工するのは一気に危険度が高まる、ということを覚えておいてくださいね。

安易な土留めは崩壊の引き金に

ホームセンターで買ってきたブロックをただ並べただけの土留めは、雨上がりなどに土の重みに耐えきれず突然崩れる危険があります。お子さんが遊ぶ庭では、見えない土の力(土圧)を甘く見ないことが大切です。

外構擁壁が必要となる法的条件

では、どれくらいの高低差があると、本格的な「外構 擁壁」を造らなければならないのでしょうか。

実はこれ、私たち個人の希望や「これくらいなら大丈夫だろう」という感覚で決めていいものではありません。

国や自治体が定めた、非常に厳格な法律のルールに従う必要があるんです。

外構計画の初期段階で必ず知っておくべき、最も重要なキーワードが「高さ2mの分水嶺」です。

建築基準法という法律では、高さが2mを超える擁壁を造る場合、それを「工作物」として扱い、工事を始める前に役所へ「確認申請」という手続きをしなければならないと定めています。

この確認申請では、「土圧や水圧、地震が来ても絶対に倒れません」ということを証明するための、分厚い構造計算書を提出する必要があります。

そして、工事の途中では鉄筋が正しく組まれているかの検査を受け、完成後にも完了検査を受けて、初めて「検査済証」という合格証明書をもらえるのです。

なお、擁壁やブロック塀に関する基準は、構造物の種類や適用される法令によって異なります。実際の計画では、国土交通省の「建築基準法における塀に関する基準」などの一次情報も確認しておくと安心です。

この「2m」の測り方にも注意が必要です。

地面から上に見えている部分だけを測るのではなく、土の中に埋まっている基礎の一番下から、壁のてっぺんまでの高さを測ります。

だから、「見た目は1.5mくらいだから申請はいらないな」と思っていても、基礎を含めると2mを超えていて、実は法律違反になっていた……なんていうトラブルも実務ではよくある話なんですよ。

「じゃあ、高さ2m以下なら確認申請がいらないから、適当にブロックを積んで安く済ませてもいいの?」と思うかもしれません。

答えは、絶対にNOです。

確認申請の手続きが省略できるだけで、「敷地の安全を確保して崩壊を防ぎなさい」という建築基準法の義務は、高さに関係なくずっとつきまといます。

実際、1mちょっとの高さでも、地盤が弱かったり水の抜け道が悪かったりすれば、簡単に崩れて大事故に繋がります。

だからこそ、2m以下であっても、プロの目線でしっかりと構造を計算して設計してもらうことが不可欠なんです。

また、最近では法律がより厳しくなっており、2023年に施行された「盛土規制法(旧・宅地造成等規制法)」というものがあります。

この法律の規制区域内では、山を削る「切土」で高さ2mを超える崖ができる場合や、土を盛る「盛土」で高さ1mを超える崖ができる場合、知事の許可と、厳しい安全基準を満たした擁壁の設置が義務付けられています。

盛土規制法における擁壁や排水施設などの技術的基準については、国土交通省「宅地造成及び特定盛土等規制法施行令に基づく大臣認定擁壁について」でも確認できます。

さらに、各自治体が独自に定めている「がけ条例(安全条例)」というルールもあります。

例えば埼玉県の場合、高さ2mを超える崖の近くに家を建てるなら、崖の高さの2倍の距離(セットバック)を離して家を建てるか、安全な擁壁を造るかしなさい、と決められています。

せっかく買った土地なのに、法律の制限で家が極端に小さくなってしまった……なんてことにならないよう、高低差のある土地を買う前には、必ず専門家に法律関係のチェックを依頼してくださいね。

◆にわ好きのワンポイントアドバイス

擁壁の法律は本当に複雑で、管轄する役所の担当者によっても見解が分かれることがあるくらいです。ネットの情報を鵜呑みにせず、「自分の敷地がどの法律の規制区域に入っているか」を、必ず地元の設計士さんや実績のある外構業者さんに調べてもらいましょう。ここをケチると、後で取り返しのつかない費用が発生しますよ。

外構土留めの種類と費用相場

土留めや擁壁が必要だと分かったら、次に気になるのは「いったい、どんな構造で、いくらお金がかかるのか?」ということですよね。

高低差の処理にかかる費用は、外構工事全体の見積もりの中でもトップクラスに高額になることが多いです。

しかし、ここで安さを優先して構造の選択を誤ると、数年後に壁が傾いたり、最悪の場合は崩落事故を起こしてご近所を巻き込んだりする可能性があります。

ここでは、代表的な外構 土留めの種類と、その費用相場について詳しく見ていきましょう。

構造種別 適用高低差の目安 概算費用目安 (10mあたり) 構造的特徴と適用条件
RC造擁壁 (鉄筋コンクリート造) 2m超〜
(3m以上は必須)
300万〜500万円以上 鉄筋とコンクリートを一体化。最も強固で安全性が高い。軟弱地盤にも対応可能。耐用年数は50年以上。
型枠ブロック造 (CPブロック) 1m〜3m程度 100万〜200万円 空洞部に鉄筋とコンクリートを充填。RC造に近い強度を持ちつつ費用を抑えられる。意匠性も高い。
コンクリートブロック土留め 40cm以下
(最大60cm未満)
50万〜100万円
(低めの場合)
自重が軽く土圧を支える強度不足。土に触れる部分は40cm以下推奨。高い土留めへの転用は極めて危険。

※提示している数値や費用相場はあくまで一般的な目安であり、現場の土質、搬入経路、地盤の強さによって大きく変動します。

鉄筋コンクリート造の特徴と費用

高低差が2mを超えるような大きな段差がある敷地で、まず第一の選択肢となるのが「RC(鉄筋コンクリート)造擁壁」です。

これは、現地で鉄筋を複雑に組み上げ、そこへベニヤ板などの型枠を当てて、ドロドロの生コンクリートを流し込んで固める工法です。

鉄筋の「引っ張られる力に強い」という性質と、コンクリートの「押しつぶされる力に強い」という性質が合体することで、圧倒的な強度を生み出します。

しっかりとした構造計算に基づいて設計されるため、安全性は文句なしのトップクラスです。

耐用年数も50年以上と言われており、一度きちんとしたものを造ってしまえば、孫の代まで安心できる構造体と言えるでしょう。

ただし、その分費用は非常に高額になります。

長さ10mを施工するだけでも、300万円から500万円、あるいはそれ以上の費用がかかることも珍しくありません。

「えっ、壁を造るだけで車が買えちゃうの!?」と驚かれる方も多いと思います。

私も最初は目を疑いました。

でも、それだけ大量の鉄筋とコンクリートを使い、職人さんが何日もかけて丁寧に造り上げるものなので、どうしてもこれだけのコストがかかってしまうのです。

型枠ブロック造の特徴と費用

型枠ブロック造の特徴と費用

「RC擁壁の安全性は欲しいけど、予算的に300万は厳しすぎる……」

そんな時に救世主となるのが、「型枠ブロック造(CPブロック)」という工法です。

高低差が1mから3m程度の場合に、よく採用されます。

見た目は普通のコンクリートブロックに似ていますが、中身と強度は全くの別物です。

一般的なコンクリートブロックは自重が軽く、中に鉄筋を入れるスペースも限られているため、土圧を支える土留めとして使うと、土の重みで簡単にポキッと折れたり倒れたりしてしまいます。

これを高い土留めに使うことは、実務上、極めて危険な行為です。

一方、型枠ブロック(CPブロック)は、ブロック自体が擁壁として国から認定を受けている特別なものです。

ブロックの中に大きな空洞があり、そこに縦横に太い鉄筋をたくさん通して、空洞の隙間を埋めるように生コンクリートをたっぷりと流し込みます。

これにより、ブロックの中身がカチカチのコンクリートの塊になり、実質的には先ほど紹介したRC擁壁とほぼ同等の強度を持たせることができるんです。

現地で木の型枠を組んでからバラす、という手間が省けるため、RC造と比べると人件費や材料費を大きくコストダウンできるのが最大のメリットです。

費用相場としては、10mあたり100万円〜200万円程度に収まることが多いですね。

表面に自然石のような模様が入ったオシャレな化粧タイプの型枠ブロックもあるので、家の顔となるファサード部分のデザイン性を高めたい時にも大活躍してくれますよ。

普通ブロックとCPブロックの見分け方

素人目には同じブロックに見えますが、外構工事の見積もり書をもらったら、土留め部分の項目が「CPブロック」や「型枠ブロック」と明記されているか必ず確認してください。「CB(コンクリートブロック)」で高い土留めを作ろうとしている業者がいたら、その計画は一度白紙に戻して考え直した方が安全です。

外構基礎で高低差を処理する深基礎

外構工事で何百万円もかけて擁壁を造る以外の選択肢として、最近注目されているのが「深基礎(ふかぎそ)」という建築的なアプローチです。

これは、外構で土留めを造るのをやめて、家そのものの基礎を地中深くまで伸ばしてしまおう、という逆転の発想です。

通常、家の基礎は地面から少し掘ったところから造り始めますが、深基礎の場合は、斜面が崩れても影響を受けない安全な地層(安息角より下の硬い地盤)まで一気に掘り下げて、巨大なコンクリートの基礎を打ち込みます。

最大のメリットは、何と言ってもコスト削減の可能性です。

高低差2mの土地で、大掛かりなRC擁壁の外構工事をゼロから行うよりも、家の基礎工事のオプションとして深基礎を採用した方が、全体的なトータルコストが安く収まるケースが多いんですよ。

また、家自体が高い位置に建つことになるので、道路を歩く人からの視線が気にならなくなり、プライバシーが守られやすくなるという嬉しいおまけもついてきます。

大雨の時に床下浸水するリスクも減らせますね。

ただし、良いことばかりではありません。トレードオフとなるデメリットもしっかり理解しておく必要があります。

まず、家の基礎工事の規模が大きくなるため、工期が通常の倍くらいかかります。

費用も、標準の基礎から50万円以上の追加オプション費用が発生することが一般的です。(現場によって見積もりは大きくブレます)

そして一番の注意点は、「玄関までのアプローチに長い階段が必須になる」ということです。

毎日何段もの階段を上り下りして家に入るのは、若くて元気なうちは気にならなくても、将来車椅子が必要になった時や、足腰が弱ってきた老後には、かなりの負担になるリスクを孕んでいます。

階段を造る際は、安全のために1段の高さ(蹴上げ)を15cm以下、足を乗せる幅(踏み面)を30cm以上と、ゆったりとした設計にすることが推奨されますが、その分アプローチのスペースも広く必要になります。

深基礎を選ぶ場合は、ご自身の「将来のライフスタイル」をリアルに想像して、毎日の階段昇降が苦にならないかを家族でじっくり話し合ってみてくださいね。

外構境界ブロック設置の注意点

さて、高低差の問題と同じくらい、家づくりで頭を悩ませるのが「お隣さんとの境界線」の問題です。

プライバシーを守るために外構 境界ブロックを積み、その上に目隠しフェンスを設置するのは定番のスタイルですが、実はここにも厳しいルールと、将来のトラブルの火種が隠されています。

境界工事での判断ミスは、数十年後にご近所さんとの修復不可能な関係悪化や、数百万円規模の無駄な出費を招くことになりかねません。

なお、境界ブロックそのものの費用や基礎工事、既存塀の撤去費用について詳しく知りたい方は、「外構ブロック塀の費用相場は?内訳と安くする秘訣を徹底解説」も参考にしてください。境界工事の見積もりを見る際にも役立つ内容です。

外構境界フェンスの高さ制限

「リビングの中が見えないように、お隣さんとの間に2.5mくらいの高い目隠しフェンスを立てたいな」

そう考える方はとても多いのですが、実はブロック塀とフェンスの組み合わせには、法律と実務上の高い壁が存在します。

建築基準法という法律では、コンクリートブロック塀単体の高さは「最大2.2mまで」と制限されています。

補強の鉄筋が入っていない古いブロック塀の場合は、さらに厳しく「1.2mまで」が上限です。

国土交通省も、補強コンクリートブロック造の塀について高さ2.2m以下、組積造の塀について高さ1.2m以下などの基準を示しています。(出典:国土交通省「建築基準法における塀に関する基準」

では、ブロック塀の上にアルミのフェンスを後付けで乗せる場合はどうでしょうか?

実は、法律には「ブロックとフェンスを合わせた合計の高さ」について、はっきりとした明文のルールがないんです。

「それなら、ブロックを1.6m積んで、その上に1mのフェンスを乗せて2.6mにしてもいいの?」と思うかもしれません。

しかし、現実の実務ではそれは許されません。

台風などの強風が吹いた時や、大きな地震が起きた時に、高すぎるフェンスは風の抵抗をモロに受けて、下のブロックごと倒壊してご近所さんの家を壊したり、最悪の場合は人にケガをさせたりする危険があるからです。

そのため、良心的な外構施工業者や多くの自治体では、安全配慮の観点から「ブロック塀+フェンスの合計高さ=2.2m以内」という厳しい自主基準を設けて守っています。

例えば、ブロックを1.2m(6段)積んで、その上に高さ1.0mのフェンスを設置する(合計2.2m)という組み合わせなら、安全で合法とみなされます。

もしあなたが、「どうしても1.8mや2.0m以上の背の高い目隠しフェンスが欲しい!」という場合は、既存のブロック塀の上に無理やりフェンスを乗せるのは諦めましょう。

代わりに、ブロックは使わず、地面に直接コンクリートの基礎(独立基礎)を埋め込んで、そこから頑丈な柱をスッと立てる「独立基礎タイプのフェンス」を選ぶのが正解です。

これならブロックの制限を受けずに高さを出せますし、風にも強い安全なフェンスが作れますよ。

外構境界の所有形態は単独所有推奨

外構境界の所有形態は単独所有推奨

隣の家との境界線にブロックやフェンスを造る時、必ず決めなければならないのが「誰の敷地に、誰のお金で造るのか(所有形態)」という問題です。

ここには大きく分けて2つの方法があります。

一つは、境界線の真ん中にブロックの芯が来るように設置して、費用をお隣さんと半分ずつ出し合う「共有(境界線上)」という方法。

もう一つは、境界線から完全に自分の敷地側に寄せて、自分の費用だけで造る「単独所有(内積み)」という方法です。

結論から力強く言わせてください。

金銭的な余裕があるなら、絶対に「単独所有(内積み)」を選択してください。

「えっ、お隣さんと折半した方が初期費用が半額で済んでお得じゃない?」と思うかもしれません。

確かに昔の家づくりでは、この共有ブロックという手法が当たり前のように行われていました。

しかし、これが後々、とんでもないトラブルの元凶になるのです。

民法のルール(第252条)では、共有物に何か変更を加える時、例えば「フェンスが古くなったから新しくしたい」「ブロックを一部解体したい」と思った場合、必ずもう一人の共有者(お隣さん)の同意が必要だと定められています。

あなたがどれだけ自分のお金で直したいと思っても、お隣さんが「私は今のままでいい。工事の音がうるさいから反対」と言えば、手出しができなくなってしまうのです。

さらに恐ろしいのは、数十年後に不動産を売買したり、相続が発生して、お隣の住人が全く知らない別の人に変わってしまった時です。

昔の口約束なんて当然通じませんから、「フェンスを直したいけど、新しいお隣さんが費用を出してくれない」「コケが生えて汚いのに、相手が掃除してくれない」といった深刻な揉め事に発展するケースを、私は現場で何度も目の当たりにしてきました。

単独所有(内積み)にすれば、初期費用は全額自己負担になりますし、ブロックの厚みの分だけ自分の敷地が数センチ狭くなってしまいます。

しかし、デザインも高さも自分の自由ですし、将来壊したくなったらいつでも自分の意思だけで即座に工事ができます。

数十年にわたる精神的な自由とご近所トラブル回避の保険料だと考えれば、単独所有のコストは決して高くはないはずです。

古い共有ブロックが既にある場合の対処法

中古物件を買った際、すでにお隣との間に古い共有ブロックが存在し、撤去の話し合いがこじれてしまったらどうすればいいでしょうか。その場合は、古い共有ブロックには一切触らず、自分の敷地側に2〜3センチの隙間を空けて、新しく独立したフェンスを立てる「二重構造」にするのが実務上のセオリーです。これで権利関係を完全にクリアにできますよ。

擁壁の安全性と維持管理の重要性

高いお金を払って立派な外構 擁壁を造ったら、それで一生安心……というわけではありません。

家と同じように、擁壁も完成したその日から劣化が始まり、適切なメンテナンスを続けなければ、いつか崩壊の危機を迎えます。

特に、擁壁の運命を左右すると言っても過言ではないのが、「水」のコントロールです。

水抜き穴と裏込め材の役割

水抜き穴と裏込め材の役割

擁壁が崩れる一番の原因は、地震よりもむしろ「雨水」です。

雨が降って擁壁の裏側の土に水が染み込むと、土は水分をたっぷり吸って重くなります。

それだけではなく、逃げ場を失った水が擁壁を内側から外側へ押し倒そうとする強烈な力、「水圧(静水圧)」が発生するのです。

この見えない水圧の脅威から擁壁を守るための「命綱」となるのが、擁壁の表面にポツポツと開いている「水抜き穴」です。

法律(宅地造成及び特定盛土等規制法施行令など)でも、擁壁には「壁の面積3平方メートルごとに1個以上、内径7.5cm(75mm)以上の水抜き穴を開けなさい」と厳しく義務付けられています。

擁壁の排水や透水層については、国土交通省「宅地造成に関する工事等の許可について」でも技術的な考え方が示されています。(出典:国土交通省)

ただ、コンクリートの壁に穴を開けただけでは、すぐに泥や小石が詰まってしまい、水が抜けなくなってしまいます。

そこで重要になるのが、擁壁の裏側に隠されている「裏込め材(うらごめざい)」と「フィルターシート」の連携プレーです。

擁壁を造る時、壁の裏側には土を直接戻すのではなく、水を通しやすい砕石や砂利の層(裏込め材)を設けます。

そして、その砕石の層に周囲の泥が流れ込まないように、ヤシの繊維などでできたフィルターシート(吸い出し防止材)で包み込むのです。

このシステムによって初めて、

  1. 裏側の広範囲にある砕石の層が、土の中の水を効率よく集める
  2. フィルターシートが泥の詰まりを防ぐ
  3. 集まったキレイな水だけが、水抜き穴から勢いよく外へ排出される

という完璧な排水ルートが完成し、擁壁内部の水圧上昇を防ぐことができるのです。

擁壁を持つ土地のオーナーであるあなたは、大雨が降った後などに、この水抜き穴からチョロチョロと水がちゃんと出ているかをチェックする責任があります。

もし、大雨の後なのに水抜き穴から全く水が出てこない場合は、中で泥が詰まって水が溜まり続けている非常に危険なサインかもしれません。

また、擁壁の表面が道路側へ孕むように膨らんできたり、全体が傾いてきたりしている場合は、すでに水圧と土圧に壁が負け始めている証拠です。

壁に大きなヒビ(クラック)が入って、そこから裏の土が流れ出しているような状況なら、すぐに専門の業者さんに調査を依頼してくださいね。

危険な二段擁壁や既存不適格に注意

中古の戸建て住宅や、古くからある造成地を購入しようとしている方は、絶対に知っておかなければならない「地雷」があります。

それが、「既存不適格擁壁」と「二段擁壁」の存在です。

先ほど、高さ2mを超える擁壁には「検査済証」という合格証明書が必要だとお話ししましたよね。

土地を買う前には、必ず役所の建築指導課などに出向いて、その土地の擁壁に過去の確認申請の記録と検査済証が残っているかを調べてください。

もし検査済証がない場合、その擁壁は「中に鉄筋がちゃんと入っているか、基礎がどれくらい深く埋まっているか全く分からない危険な壁(不適格擁壁)」として扱われてしまいます。

この状態のままだと、その土地に新しい家を建て替えるための建築許可が下りないことがほとんどです。

家を建てるためには、古い擁壁を完全に壊して数百万〜数千万円かけて造り直すか、家自体に強固な杭を打つなどの高額な対策が必要になり、予定していたマイホームの予算が完全に吹き飛んでしまいます。

なお、国土交通省も既存擁壁について、空石積み擁壁、増し積み擁壁、二段擁壁などを安全性の確認が必要な例として示しています。(出典:国土交通省「安心できる擁壁の最低基準」

さらに現場でよく見かけてゾッとするのが「二段擁壁(二重擁壁)」です。

これは、もともとあった古い擁壁(石積みなど)の上に、後からコンクリートブロックなどを積み足して、敷地の高さを無理やりかさ上げしている状態を指します。

下の擁壁は、まさか後から上に重いブロックと土が乗っかってくるとは思わずに設計されているわけですから、追加された重みと土圧に耐えられるはずがありません。

二段擁壁は「いつ崩れてもおかしくない、全く安全性が確認できない構造物」とみなされ、行政からも非常に厳しく指導されます。

もし購入検討中の土地が二段擁壁だった場合は、擁壁全体を基礎から造り直す莫大な費用がかかることを覚悟するか、購入自体を見送るのが賢明な判断と言えるでしょう。

ただし、悪い話ばかりではありません。

最近は、地震でのブロック塀倒壊事故を防ぐために、多くの自治体が古い塀の撤去や新しいフェンスの設置に対して「助成金(補助金)」を出してくれる制度を整えています。

例えば、埼玉県新座市の助成制度では、道路に面した危険なブロック塀を撤去して安全なフェンスに造り替える場合、最大で数十万円の補助金を受け取ることができます。

新座市の制度については、「新座市ブロック塀等撤去・築造工事助成金交付申請書」で対象となる工事や申請内容を確認できます。(出典:新座市)

こうした制度を活用する時の絶対のルールは、「必ず工事の契約をする前(着手前)に役所へ相談し、申請手続きを済ませること」です。

工事が終わった後から「補助金ください」と言っても1円ももらえないので、外構計画の最初の段階で、ご自分の住む地域の助成金制度をしっかりリサーチしておきましょう。

外構の土留め・擁壁に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 高低差が30cmくらいなのですが、DIYでブロックを積んで土留めを作っても大丈夫ですか?

A. 30cm程度の高低差で、花壇程度の小規模なものであれば、DIYでレンガや小型ブロックを並べて簡易的な土留めとすることは可能です。しかし、駐車場脇や人がよく通る場所など、少しでも崩れた時に危険が伴う場所であれば、土の重さ(土圧)を甘く見ず、基礎からしっかり固める必要があります。不安な場合はプロに一度見てもらうことをおすすめします。

Q2. 中古物件を購入予定です。既存の擁壁の安全性を確かめるにはどうすればいいですか?

A. 最も確実な方法は、役所の建築指導課などに行き、対象の擁壁(高さ2m超の場合)に「検査済証」が交付されているか記録を確認することです。また、目視で水抜き穴が塞がっていないか、壁面が膨らんだりひび割れたりしていないかを確認してください。最終的な判断は、購入前に建築士や外構の専門家に現地調査を依頼するのが一番安全です。

Q3. 隣の家との境界フェンスの費用を折半しようと持ちかけられました。断ってもいいのでしょうか?

A. もちろん断って大丈夫です。むしろ、将来のトラブルを避けるために「自分の敷地内に、自分の費用で単独で設置したい」と丁寧にお断りすることを強く推奨します。費用を折半する「共有」にしてしまうと、将来フェンスを直したくなった時に相手の同意が必要になり、権利関係が非常にややこしくなります。

Q4. 擁壁の見積もりを取ったら業者によって金額が全然違いました。なぜですか?

A. 外構工事は、現場の土質(掘りやすさ)、重機が入れる道幅か、残土の処分費用など、土地の条件によって大きく金額が変わるためです。また、安すぎる見積もりを出してくる業者は、必要な根入れ(基礎の深さ)を浅くしたり、型枠ブロックではなく普通のブロックを使おうとしたりしている危険性があります。金額だけでなく、「どんな構造で施工するのか」を図面でしっかり確認してください。

安全な外構計画は初期にプロへ相談

ここまで、外構の土留め・擁壁の重要性や費用相場、境界フェンスの注意点についてお話ししてきました。

いかがでしたか?

「土留めや擁壁が必要かどうか」という判断は、単にお庭を綺麗にするためだけの問題ではありません。

建築基準法や盛土規制法といった複雑な法律、そして土圧・水圧という容赦ない自然の力から、あなたの資産と家族の命を守るための極めて重要な判断です。

目に見えない土の中の工事だからこそ、安く済ませることだけを優先してはいけないのです。

特に、高低差がある土地や、境界の権利関係が曖昧な土地を購入する場合は、家づくりの計画が本格的に進んでしまう前に、必ず外構の専門家や建築士に現地の状況を確認してもらってください。

なお、敷地そのものに傾斜がある場合の土留め・擁壁の考え方については、当サイトの「庭の傾斜どう対策する?土留めやDIY整地の費用と解決策まとめ」でも詳しく解説しています。高低差の処理方法を検討している方は、あわせて参考にしてください。

初期の段階でリスクを正しく評価することが、予算オーバーを防ぎ、数十年後も安心して暮らせる住環境を構築するための唯一の道です。

※本記事で紹介した費用相場や法律の基準はあくまで一般的な目安であり、現場の状況や自治体の条例によって異なります。最終的な判断や施工は、必ずご自身の責任において、信頼できる専門家にご相談の上で行ってください。

あなたの理想の家づくりが、安全で素晴らしいものになることを心から応援しています!

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